→ZERO→ IV


 彼の方も 酷なことをなさいます

わたしを哀れむ 高貴な光
焔の髪に 水面の瞳

「助けてくれて、ありがとう」

優しく微笑む その人の
か細く 動かぬ 左腕

 この先も 危険に満ちた 道程です
 ゆめゆめ ご油断なきように

苦さと 苛立ち 押し込めた
不動の要 薫風の声音

 ここには何でも ありますが
 貴方の援けに なりません

豊かに広がる 王土にも
わたしの居場所は ありはしない

 私の庇護は 支配も兼ねます

孤独な王も 苦悩する
手が 届かぬものが あるのだと

 お願いが あります
 苦しみ 耐える あの人の・・・