→ZERO→ III


 可愛い 可愛い 幼子よ
 わらわに 抱きしめさせたもう

腕も 胸も 温かい
優しい鼓動が とくん とくん

どうして 離れることが できようか
甘く 優しい 安らぎよ

 ここにおれば よろしかろう
 どこにも行かず そばにおりゃ

沈む身体が 心地いい

 それは 器
 人形です

冷厳な 力に満ちた 一喝と
ひやりと刃が過ぎていく

 あな憎し
 喰らい損ねてしまったわ

遠ざかる 愛しく恋しい 鬼子母神

あなたの子ではないからか
あなたに作れぬ中身のせいか

あなたに似せた 身体のせいか