やっぱり二人がいいね−3−


 空に一番近い街、コンロン。
 高所にあるため日差しは強いが、雲が行きかうため、空気は涼しい。それも、いまのような夜間は、ことさらひやりと感じる。
「ん〜、んまいっ」
 コンロンの周囲に浮かぶ人気のない小島のひとつで、最高級のマステラ酒を両手に、クロムはほくほくとご機嫌だ。ユーインにデートの行き先を聞かれて、とっさに「美味い酒が飲めるところ」と言ってしまったが、案外よかったようだ。
 昼間飲んだ老酒もよかったが、満天の星々を見上げながら飲む、頭の冴えるような芳醇な香りとフルーティな味は格別だ。
「ユーインももっと飲む?」
 草むらに座り、さっきから背中越しに、ぎゅっとクロムを抱きしめているユーインを振り仰ぐ。
「俺は、こっちがいい」
「んっ・・・」
 自分の分を飲み終わったユーインに唇をふさがれ、甘い舌が入ってくる。酒で温まったクロムの体に、ぞくりと快感が走った。
「はっ・・・ぁ、こら!ここ、外だぞッ!」
「いいじゃん。誰もいないんだし」
「そういう問題じゃ・・・ひやぁっ!」
 法衣の合わせ目にユーインの手が入ってきて、取り落としそうだった飲みかけのマステラ酒を、反対側の手で取り上げられる。
「こら、もっと飲ませ・・・」
「我慢できない」
 ちゅっと耳の凹凸を吸われ、クロムの腕から力が抜けた。
 飾りのなくなった耳から首筋へと、ユーインの舌が降りていき、とがった胸の飾りを晒すように、法衣が手荒にはだけられる。
「やっ・・・ぁっ!」
「俺がボディピアスをプレゼントしたら、ここにつけてくれる?」
「ばっ・・・無理だ!あぅっ・・・!」
 両方の乳首をぎゅっとつままれ、クロムの息が弾んだ。赤く勃起した乳首に細い針を通され、ユーインだけにそれを眺められたら・・・そう思うと、羞恥とユーインの嗜虐心を満足させられて喜ぶ自分の変態さに、ますます興奮してしまう。
「乳首だけで、感じた?」
「んんっ!」
 スラックス越しに硬くなった熱を撫でられ、思わずクロムの体が逃げる。それをすかさずユーインの腕が抱きしめ、器用に片手だけでベルトを外し、ジッパーをおろしていく。
 ユーインの手によって外気に晒され、ぴんと上を向いた自分の楔に、クロムは真っ赤になって身をよじるが、相変わらずユーインの腕が、それを押さえ込んでいる。
「だめだよ。・・・ねぇ、酒を直接つけるとハイになりすぎちゃうんだけど。クロム知ってた?」
「ひっ・・・」
 耳元で低く囁かれて、クロムは必死で首を振る。そもそも、酒は飲むものであって、そんなことに使うものではない。
 ぴしゃ・・・と冷たいものがかけられ、身震いする。この香りは・・・マステラ酒だ。
「ちょ・・・高い酒を・・・!」
「サカキさんの薬みたいに調整きかないけど、いいよね?」
 まったくよくないのだが、普段から抱き潰されているクロムにとっては、たしかにどちらでもあまり変わらない。
 それよりも、ユーインの手がクロムを扱いて、気持ちがいい。マントごとユーインの袖をつかみ、クロムは首をのけぞらせた。
「はっ・・・はぁ・・・っ!」
 ユーインの指が上下に往復し、括れや割れ目を優しく擦っていく。そのうち、薬のように体の奥からではなく、じわりと、そこだけが熱くなっていく感覚に、クロムは犬のように息を切らせた。
「ユーイン・・・ユーイン、熱い・・・っ!」
 同じく酒を塗りこまれた乳首もじんじんと熱を持ち、股間に伝い落ちていく水滴が、期待に満ちたつぼみに染込んでいくのがわかる。外側からの刺激だけで登りつめてしまいそうだ。
「あっ・・・ユーイン!・・・ぅあっ!あっ、だめ・・・!」
 溢れ出した蜜が、クロムを扱くユーインの指に絡まり、くちゅくちゅと恥ずかしい音が響く。
「可愛い。もうイっちゃいそう?」
「や、ぁっ!い・・・だめ、でちゃう・・・ユーイン、でちゃうぅ・・・ッ!」
 がくがくと体を震わせていたクロムの屹立から、不意にユーインの指が離れた。
「ひぅっ・・・ゆ、ゆーいん・・・」
 イきたいのに・・・もう少しでイけたのに。赤く色づいたクロムの先端が、喘ぐようにぱくぱくと開き、透明な雫を零して強請っている。
「や、だ・・・!もっと・・・!」
 ユーインにすがり付いてキスをすると、裾がベルトで閉じられた面倒くさいアークビショップの法衣から脚を抜けさせられ、スラックスが脱がされた。
 半端に衣服を羽織ったまま草むらに仰臥したクロムに、ユーインが覆いかぶさる。
「ユーイン・・・ユーイン・・・ああッ!」
 両脚を開いてユーインを抱きしめようとしたが、後ろに濡れた感触が入り込んできて、背をしならせた。
「あっあっ・・・!ぁんっ・・・!」
「きつ・・・こんなに締め付けて・・・でも、クロムは指なんかじゃ足りないんでしょ?」
 こりっといい所を押し上げられ、クロムは強烈な射精感を堪える涙を浮かべて、嬌声をあげた。
「やぁああっ!ユーインが・・・ユーインが、欲しいぃっ・・・!」
 ずるっと指が抜けて行き、もっと大きくて熱いものが押し当てられた。
「ぁ・・・あっ、あああッ!!」
「くっ・・・」
 みちみちと割り広げられていく体の中で、酒を吸った粘膜が、狂ったようにユーインの肉棒を求めてうごめいた。
「はっ・・・す、ごい・・・」
「いいッ!イくっ!・・・ユーイン!でちゃうぅう!!・・・ぁあああっ!!」
 入れられただけでイきそうだったクロムは、みっちりと広げられた中を、二、三度力強く擦られただけで、白く濁った熱を吐き出した。
「はぁー・・・っ、はぁー・・・」
 まだ反り返った証がじんじんと熱を持ち、クロムはいつも以上に頭の中がぼうっとしたまま、澄んだ星天井を見上げた。
 さわりと涼しい風がふいて漂ってきた、胸まで飛んだ自分の精液の匂いに、かすかに眉をひそめながら、クロムはここが外だというのを思い出した。
「ユーィ・・・ぁうっ!」
「すっごい、締まる。気持ちいい・・・」
 唇が触れ合うような距離で囁いたユーインは、欲情にぎらついた目つきのまま、捻じ込むように腰を打ち付け始めた。
「アアッ!!あっ・・・ひっ、いっ・・・!」
「・・・まだ、ちょっときついかな」
 ユーインはそう言って、クロムの飲みかけだった分を、すべて接合部分にぶちまけた。
「ちょっ・・・そんなに!」
 膝裏を抱えあげられたクロムの腹も腿も尻も、びしょびしょに濡れ、酒の甘い香りがたちこめる。同時に、ユーインと繋がったあそこが、熱く柔らかく解けるような、おかしな感覚に襲われた。
「ヒッ・・・!」
 いまイったばかりなのに、またじわりと、自分の中心に熱が集まってくる。触ってもいないのに、むくむくと力を取り戻す様に、クロムは赤面して目をそらせた。
「さすがマステラ酒。滋養強壮効果が高いって、ホントだ」
「な、に言って・・・あぅっ!」
 ずぶっと奥まで入ってきた熱の塊に、クロムは下草を引きちぎるようにつかんで、衝撃に耐えた。
「あっ!ぁ・・・っ、ユーインッ!熱いっ・・・!」
 体を折り曲げるようにのしかかられ、身動きも取れない恥ずかしい体勢で、排泄しか知らなかったクロムの狭い穴に、ユーインの太い楔がぴったりとはめられている。ユーインしか知らない、ユーイン以外に入れさせるなんてとんでもない。
 ユーインと触れ合っている内側のじわじわした熱が、燃えるような熱さに変わっていく。
「ユーイン・・・ゆーぃん、はやくぅ・・・っ!」
 ゆるゆるとした動きが、すぐに激しくなり、がつんがつんと奥まで突きあげられ、クロムの大好きな快感を生み出していく。
「ゆーぃ・・・ひぃんっ!イイ・・・っ!おく、もっと・・・!あつい、よぉっ!!」
「クロム・・・クロム・・・!」
 太い楔に蹂躙され、涙をこぼしながら喘ぐクロムの内側が、ぎゅうううと締まった。
「ッ・・・!」
「やあぁっ!!イく!また、イっちゃうぅっ!」
「いいよ。中に出してあげるよ、クロム」
 激しく擦ってくれるユーインの楔に絡みついたまま、クロムは甘くて刺激的な快感を腰から全身に行き渡らせ、二度目の歓喜を噴き上げた。
「ああっ!!あぁっ・・・でてるぅうっ!ゆーいん・・・でてるぅっ・・・!」
「んっ・・・く、ぅ・・・」
 どぷっどぷっと、勢いよくだっぷりと腹の中に出されている感覚に、クロムは蕩けそうな腰を震わせて微笑んだ。