ささやかな復讐劇−4−


 すでに二回イっているうえ、あまり後ろを使わないハロルドでは、このまま続けては苦痛の方が勝るはずだ。濡れた音が響くたびに、鍛えられた太い腕や脚が、触手に支えられたまま空をかいている。
「あっ!あぁっ!く・・・はっ・・・ぁ!」
 だがサカキは、ハロルドの首輪に繋がる鎖を握ったまま、うっすらと微笑すらたたえて、悶える肢体を眺め続けていた。そのサカキにもペノメナの触手は絡みつき、衣服の隙間から入り込んでは、布地を押し上げながら蠢いているが、まるで畏れ敬うように、慎重な動きをしている。
 じゃら・・・と鎖を鳴らして、サカキはシャツを脱ぎ、ペノメナに任せて、赤くグロテスクな触手以外に一糸まとわぬ姿になった。
「ハロルド」
 疲労に色のなくなってきたハロルドの顔が、サカキの姿を捉えて、わずかに微笑んだ。触手に絡みつかれても平然としているくせに、ハロルドだけを見つめているサカキの雄が、隆々と天を突いていた。
「んあっ!は・・・ぁう!あっ!」
 恋人が自分の痴態で興奮している姿を見て劣情を刺激され、快楽を得やすくなったハロルドの体が、突き上げられる衝撃に奮えた。
「ハロルド・・・」
「はっ・・・ん、サカキさん・・・!あっ!あっ!やだ、そんなに・・・っ、はぁっ!うご、いちゃ・・・っ!!あぁっ!」
 緩やかに起ち上がってきたハロルドの雄を見つめながら、サカキはハロルドの開かれた左足に口付けた。
「ひやぁあっ!?」
 つま先を甘噛みし、舌で甲を伝って、くるぶしの内側に強く吸い付いて、痕を残した。
「あぁんっ!」
 太い触手を咥えたままきゅっと締まったアソコが見えて、サカキは唇の端を歪めた。半透明な粘液でどろどろになったハロルドのアナルが、筋張った触手にずぼずぼと犯され、粘液を白く泡立たせている。
「あぁ・・・っ!サカキさん・・・さかきさぁん・・・っ!!」
「またイっちゃいそうか?」
「ぅんっ・・・!だめ・・・そこ、だめぇ・・・っ!ふあぁっ!」
 きゅっと根元を指で締めてやると、ハロルドは背をしならせながら、すすり泣くように嬌声を上げた。
「そうだな。ハロルドばかりイったら、不公平だな」
 ぐっと折り曲げるように、体を触手に固定されたハロルドに、いっそう激しく抜き差しが加えられた。
「ああぁああっ!ああっ!やだっ!いく!なか、こすったら・・・イっちゃうぅ!」
「そら、もっと締めてイかせてやれ」
「ひっ!ぇ・・・あっ!あぁっ!やだぁ!出さないでぇっ!!おく、だめぇええっ!!」
 ハロルドが泣き叫んでも、サカキは止めるつもりがなかった。ずっぷりと潜り込んだ触手がビクビクと震え、ハロルドの青紫色をした綺麗な目から、大粒の涙が零れ落ちた。
「いやだああっ!ふえぇええ・・・っ、サカキさぁん・・・あっ!あぅぐ・・・っ!!」
 ハロルドの中を犯していた触手をつかみ、ずるりと引っ張り出すと、ハロルドの開いた穴から、どろりと白い粘液が溢れてきた。
「や、らぁ・・・っ!なか、サカキ・・・さん、だけなのに・・・ぃ!」
「よしよし。ほら、泣くな」
 触手を解きながら抱きしめてやると、ハロルドはぎゅうっと抱きついてきた。しゃくりあげながら、時々色っぽい喘ぎが混じるのは、ごぼごぼとアナルから溢れ出すペノメナの精液のせいだ。
「可愛いな、ハロルド。俺が作った触手は、気持ちよかっただろ?」
「ひっく・・・でも、中出し・・・っなんて・・・!」
「ああ。全然触っていないのに、俺もイきそうだった。最高にいやらしくて、よかったぞ?」
 まだ泣き声まじりの吐息を漏らす唇を、ちゅっちゅっとついばんでやると、涙で潤んだ目が戸惑ったようにサカキを見つめ返してきた。
「サカキさん・・・?」
 サカキはハロルドの体をひょいと裏返し、ペノメナの上にうつぶせた。
「サカキさ・・・」
「ハロルドも途中のままじゃつらいだろ?」
「ひゃんっ!」
 イく寸前で放り出されていたハロルドの雄に、触手が絡みついていく。サカキはハロルドの可愛らしい尻を両手で広げ、まだ人外の体液を溢れさせている穴に、自分の滾りを突き入れた。
「あああああッ!!あっ!あぁッ!!」
「くっ・・・すごいな。どろどろになってる・・・」
 柔らかくほぐれたハロルドのアナルは、サカキを受け入れてきゅっと締まった。
「あァッ!あっ・・・熱いっ!はっはっ・・・ぁあ!サカキさん、すごいぃ・・・!!」
「ああ・・・ハロルドの中も気持ちいいな」
 すんなりと全部飲み込んだハロルドの尻を、サカキは愛しげに撫でて、自分の腰を打ちつけた。
「あぁんっ!あんっ!そこ・・・サカキさんっ・・・あぁっ!」
 ペノメナに体温を奪われたハロルドの中が、サカキの熱で膨らんでいくようだ。
 サカキが出し入れするたびに、白い粘液がどろどろぐちゅぐちゅと溢れ出してくるが、それがよい潤滑剤になって、狭いハロルドの中を存分に擦ってやることができた。
「ああっ!あっ!ひぃっ・・・こ、われ・・・ちゃうぅ・・・っ!はっ!あっ!」
 ハロルドの喘ぎ声と、肉同士がぶつかる音の中で、サカキはふと、手元の鎖を引き、ハロルドの首が空気を求めて反り返るのを眺めた。
「がはっ・・・はっ・・・ぁ!はっ!」
「俺の犬になりたいなんて言ったくせに・・・」
 思わず出た呟きだったが、いつものかすれた声ではなく、自分でも驚くほど頼りない、泣きそうな声だった。
 サカキは制御不能になったような感情を追い出し、鎖を緩めて、本能の赴くままに、快楽を求めて腰を振った。
「はぁっ・・・んっ・・・」
「あ、あっ!も・・・だめ・・・イっちゃう!サカキさん、イっちゃうぅ!」
 きゅううっと奥が締まり、あまりの気持ちよさに、サカキも腰をくねらせて突き込んだ。
「んっ!・・・くっ」
「はひぃ・・・っ!!イイッ!ぃ、あああああッ!!!」
 ハロルドの体が跳ね、つかんだ触手を引きちぎりかねない勢いで握り締めた。びくんびくんと全身で絶頂を吐き出すハロルドの、その搾り取ろうと蠢く中へ、サカキは自分の醜さで恋人を汚すように、白濁した熱をぶちまけた。
「ふぁ・・・あぁ・・・っ!すご・・・ぃ!はぁっ・・・ん、いっぱい・・・」
 注がれた精液を零すまいと、サカキをしっかりと咥え込んだまま、体はぐったりと沈むハロルドの頭を、サカキはそっと撫でた。
「サカキさん・・・」
「ん?」
 声が嗄れ始めたハロルドに、サカキは耳を近づけた。
「もっと・・・俺も、抱きしめたい。サカキさんに、触りたい」
 サカキはハロルドの肩に口付けると、体を離した。
「はっ・・・ぁ!あぅ・・・!」
 体内から異物が抜けていく感覚に喘ぎつつも、ハロルドは自力で体勢を変え、サカキに抱きついた。
「サカキさん・・・ぁあ!」
 くったりと萎えたものを扱いてやると、ハロルドはとろんとした眼差しでサカキのキスに応じた。
「続きはベッドだ」
 サカキはこくんと頷いたハロルドを、生存リミットが近付いたペノメナからベッドに移し、その逞しい両脚を抱えた。
「ぁあああっ!!あっ!すごいぃっ!!」
 鎖を両手首に巻きつけて拘束し、シーツを握り締めて涙をこぼすハロルドに、サカキは激しい腰使いとは裏腹に、優しくキスをした。
「ハロは誰にでも優しい。でも、全部俺のものだ。そうだろう?」
「はい・・・!」
 サカキは、蕩けた笑顔で頷くハロルドの拘束を解いてやり、自分にしがみつかせながら、理性も感情もすべてすりつぶした快楽を、ハロルドが気絶するまで貪った。