PHANTOM CHAIN−5−
昨夜から我慢していたハロルドは、やはり予想通りなサイズになっていた。
「凶悪だぞ」 「そんなこといわれても・・・」 元気に天を突いた雄を口に含み、サカキはこれを自分の中に入れられるか少し心配になってきた。 「はっ・・・ね、ぇ・・・サカキさん・・・俺より・・・サカキさん、の・・・んっ・・・慣らしたい」 「ん、・・・わかった」 サカキがベッドの上で両手足をついて腰を上げると、ハロルドの手が愛しげに尻を撫でた。恥かしさに、サカキの身体がふるりと震える。 「今日は、サカキさんが作ったジェルを使いたいんですけど」 「え・・・薬が入っていないやつにしろよ」 「はい」 薬を使われたら、さすがに一日寝込むだけじゃすまなくなる自覚がある。自分で作った物とハロルドとの相乗効果は、自分だけがよく知っている。 ひんやりとした感触に一瞬身を固くするが、くちゅ・・・っと入ってきたハロルドの太い指を柔らかく受け入れ、嬉しそうに締め付けた。 「っ・・・は、ぁ・・・」 「サカキさんの中、あったかい・・・」 元々そっちは使わないセックスをしていたサカキだが、この数年ですっかりハロルドに開かされてしまった。もっとも、ハロルド以外に入れさせてやる気など毛頭無く、知っているのはハロルドの指と舌と、そして大きくて硬い楔だけだ。・・・たまに、触手とか玩具とかが入ってくることはあるが。 「はっ・・・ぅ、ハロ・・・あっ!・・・く、ぅっ!」 ジェルのたてる音に耳を愛撫されながら、二本目の指をサカキは感じた。サカキの指が細いとはいえ、それより1.5倍は太いハロルドの指にいじられるのは、けっこうきつい。 「もうちょっと、中に入れましょうね」 「ん・・・ひぁっ!?・・・ぁ、あっ!!」 指で開かされたところに、とろりとジェルが入ってきて、その冷たさと感触に思わず悲鳴が出た。ベッドについた両腕が、がくがくと震えて、体を支えきれない。 「はろ・・・はろぉ・・・っ!は、ぁんっ!や、・・・ぁ!」 「そんなに締め付けたら入らないですよ。もっと広げましょうね」 「は・・・ふぁああ!あっ!ぅ・・・も、ぉ・・・!」 ごつごつとした指が三本に増え、ぐちゅぐちゅとすごい音を立てている。力が抜けてかくりと肘をつき、喘いでも楽にならない呼吸にうつむけば、まだ触られていないのに、反り返った先端から染み出させている自分が見えて赤面する。 「ひ・・・ぁ、や・・・やめ・・・」 「まだ入れたらつらいですよ?」 ゆるゆると広げられ、じれったいほどの動きで中を擦られる。いいところの近くを通るのだが、直接強く擦ってもらえなくて、気が狂いそうになる。 「や、だぁ・・・っも、・・・もっと!ハロぉ・・・!」 「そんなに腰振って・・・サカキさんのえっち」 揺れていた腰を撫でられ、慎み無く上げていた尻に、緩く噛み付かれた。 「ひぃっ!!」 ハロルドの舌が、尻や脚の付け根を這っているのを感じた。唾液とジェルで、べとべとにされていく。 「ハロ・・・は、やく・・・!も、いいか・・・は、うっ!」 きゅっと前を握りこまれて、熱を持った腰ががくがくと震えた。 「あっ・・・はぁっ・・・ぁん!」 溢れた雫をこすり付けるように、そっと扱かれ、理性がはがれた甘い声が出る。腹の中の指も蠢いて、サカキは中の性感に当たるよう締め付けた。それなのに、まだ決定的な刺激が足りない。 「は、ろ・・・ぉ!」 クッションに顔を押し付けて、口を開きっぱなしで喘いで、気持ちよすぎる苦しさにシーツを握り締める。とうとう、片手がハロルドに握られた自分の高ぶりに伸びた。 「だめですよ、サカキさん」 「や、ぁ・・・っ!も、・・・イかせろ・・・!」 「・・・わかりました。でも、俺もサカキさんの中で、イかせてください」 「な、んでも・・・いい、からぁ・・・ッ!」 泣きが入りかけた情けない声が、途中で悲鳴になった。アナルに埋まっていた指がずるりと抜けていき、脚の間にハロルドが入ってくる。 早く欲しくて自分で入れようとするサカキの手は押さえつけられ、ハロルドの塊が、サカキの窄まりに押し付けられた。 「は・・・ぅあ!?あっ!あぁあああッ!!!」 ずぶずぶと入ってきた質量に、悲鳴すら裏返った。切れはしなかったが、大きすぎる。 「は・・・ひっ・・・ぁぐ・・・」 「はい・・・っ、入り、ましたよ・・。は・・・あぁ、すごい・・・。すぐに・・・イっちゃいそう」 ハロルドが身震いしたのが、サカキの腿に感じた。 慣らしたおかげで痛みは少ないが、腹の中を内側から圧迫されて苦しい。 「はっ・・・はっ・・・ぁ、アッ・・・!アアッ!!」 「ふ、ぅっ・・・ぁ、すごい。狭い・・・のに、ぬるぬるして・・・んっ・・・サカキさん・・・あぁ、気持ちいい・・・」 ハロルドの動きはゆっくりとしていたが、根元までサカキが飲み込むたびに、肉同士がぶつかる卑猥な音が響いた。 ハロルドの楔の形と硬さを覚えたサカキの中は、いつもより大きな楔に喜んで吸い付き、凹凸のある長い竿の隅々まで舐め回しては締め付けた。揺さぶられ、奥まで擦られる痺れに、サカキは今度こそ自分の高ぶりに手を添えて、思いっきり扱いた。 「んぁあああっ!ああっ!ぃ、いいっ!!」 「ぅあっ・・・だめ、サカキさんっ!そんなに・・・締めちゃ・・・!!」 「イイッ・・・イく・・・っ!ハロっ・・・ハロぉ・・・っ!!」 「うっ・・・く、ぅぁ・・・っ!!」 額から白い火花が散る錯覚の中で、ごりごりと抉っていく楔の先端を吸い上げるように、サカキの全身が痙攣した。 嬌声が出たかどうか、自分では聞き取れなかった。ただ、自分で先端を擦って手に出した精液の熱さと、最奥に撃たれるような勢いで吐き出される音を、感じていた。 「はぁ・・・反則ですよ。・・・もっと、サカキさんの中を擦りたかったのに・・・」 サカキの背に覆いかぶさるように体をくっつけたハロルドが、快感に酔ったままの声音で呟いた。 「は・・・ぁ、あんなの・・・がまん、できるか・・・」 サカキはぐったりとつっぷしたまま、ぼそぼそと返す。そして、いまだ腹の中を占領するモノについて、一言。 「・・・萎えてねぇ」 「はい。まだいけます」 耳元でくすくすと笑う声に、ため息が出る。これは昨夜煽ったユーインとクロムに、恨み言のひとつも言わせて貰わねば。 「ねぇ、サカキさん。マントのチェーン、覚えてます?」 サカキのわき腹を撫でていたハロルドの手が、胸のあたりまで這い上がってきた。 「ちょっと、大きかったでしょ?お揃いにしたんです。俺の鎖と」 「な、に・・・?」 力の抜けた頭で、ぼんやりと思い出す。マント・・・仮装のマント。あの、留め金と、大きな鎖・・・。 「サカキさんを、俺に繋ぎたくて・・・他の人が、サカキさんを好きにならないように・・・他の人に、盗られたくなくて・・・」 ごめんなさい、という小さな声に、サカキは呆然となる。誰かがサカキを好きになる?いったい、何の話だ。 「俺を、閉じ込めてください。俺、ちっとも、サカキさんに相応しくなれなくて・・・俺馬鹿だから、考え付かなくて・・・だから、サカキさんにとって、俺が二番目とか三番目とかに大事ならいいです。だけど、俺の一番でいさせてください」 「ハロ・・・」 きゅっと抱きしめられた背に、熱いくらいの体温を感じる。まだ若くて、自信の無さか遠慮が過ぎて、おかしな方向へ走って行く、謙虚で馬鹿な男だ。 「こ、んな・・・体勢で、言う台詞か・・・っ!アホが!俺が、今泣きそうな声を出しているお前を・・・抱けないじゃないか!」 じたばたともがくが、がっちりと抱き込んだ太い腕は解けそうにない。サカキはひとつ深呼吸をすると、ぐっと腹に力を込めた。小さくなりかけた楔が、びくんと震えた。 「ぅ・・・サカキさ・・・」 「これは誰のナニだ?ここに入れていいのはハロルドだけだって、俺が下になってもいいぐらい好きなのはハロルドだけだって、いつも言っているだろうが!」 「はい・・・」 しゅんとうなだれた気配に、サカキは体でわからせてやるとばかりに、腰をくねらせた。 「ひゃぅっ・・・、ぁ・・・サカキさん・・・!」 「お前は、俺が二番とか三番の奴に、こういうことを許すとでも思っているのか?」 「ご、め・・・なさ・・・ぁうっ」 たまらずサカキの腰を押さえようとしたハロルドの手に、サカキは爪を立てた。そしてそのまま、ほとんどハロルドの上に座るように体を起こし、睨むようにハロルドを振り向いた。 「俺はどこにも行かない。勝手につかみ損なっているのはハロのほうだ。誰にも手が届かないように、俺を犯してみろ」 サカキはハロルドの手を取り、自分の胸と、脚の間で半起ちになっているものに導いた。 「早くしないと、俺が犯すぞ・・・?」 頬を染めたサカキに睨まれて、ハロルドの指先に力がこもった。サカキの胸の先端に、緩く頭をもたげた雄に、ハロルドの指が絡まり、痺れるような快感が息を弾ませて、後ろの窄まりを奮わせた。 腹の中のハロルドが硬さを取り戻してきたのと、背中にハロルドの唇を感じて、サカキはもう一度、自分で腰を使った。 |