返らない日々 −3−
住みにくくなった土地から人間が消え、荒野を行く旅程では貴重な物資だったが、リュンはハイスピードポーションとホワイトスリムポーションを開けた。どちらも以前と比べて、ひどく高価な物になっていた。
「・・・っは、ぁあっ!いっ・・・!」 二つのポーションを混ぜて念入りにほぐしたものの、転生してから一度も男を迎えていないリュンの後ろは、冷たくとも大きさは立派に起った流貴を締め付けた。 ―っ・・・リュン、― 流貴の動きも止まる。 斜めになってほとんど倒れた、壁だったらしい平らな瓦礫の上に背をもたれかけ、リュンは流貴を受け入れて喘いだ。 強烈な痛みに、後ろからしてもらった方がよかったかなと頭の隅をよぎったが、乱暴にはだけた服を退けて、ひやりとした流貴の指が、リュンの胸を撫でてきて、このままでいいやと考え直す。 ―リュン・・・大丈夫?― あんまり大丈夫ではないことなど、肩に食い込んだリュンの指の力で、流貴もわかっているはずだ。 「る、き・・・っ、・・・は、あっ・・・!」 堅く芯を持った乳首をつままれ、リュンの背が跳ねる。濡れたあそこが、さらに流貴を咥え込んで、ぐちゅりと音を立てた。 ―すご・・・きつい・・・。リュンの中、すごく、熱い・・・― 青白かった頬に、ほんの少しだけ色が戻り、情欲に蕩けた紅玉色の目が、もっとリュンを欲しいと訴えている。 唇を重ね、昔と変わらない仕草で舌を絡めあう。リュンの吐息は熱いのに、流貴の体は相変わらず冷たいままだ。 リュンは少し躊躇ってから、流貴の上着に手をかけた。正直、自分が触って脱がせられる物なのか不安だったが、案外あっさりと解け、滑らかな肌が見えた。その体を抱き寄せ、しっかりと抱きしめる。 「こう・・・すれば、・・・はぁっ・・・ぁ、もっと・・・あぅっ!」 みしりと体が裂ける様な痛みに、開いた脚がこわばる。 ―ぁ・・・だめ、だって・・・。そんな・・・んっ― 流貴は少しだけ腰を引き戻すと、リュンの首筋に顔を埋め、胸から、引き締まったわき腹や背を撫で、滑らかな腰を愛撫していく。 「はっ・・・ん・・・っ、流貴・・・」 ―・・・傷、増えた?― 古いものから比較的新しい物まで、リュンの体にはあちこち傷跡がある。それは前衛職として仕方の無いことなのだが。 「ずっと・・・一人、だっ・・・た、から・・・ぁっ!」 痛みに元気の無いリュン自身に、流貴の器用な指が絡まった。緩やかに優しく、それでもちゃんとリュンの気持ちいい所は憶えている動きに、リュンはここが屋外だというのも忘れて、嬌声を上げた。 「流貴っ・・・だめ、だ・・・あぁっ!・・・る、きぃっ!」 染み出した蜜をこすり付けるように前をしごかれ、いつの間にか、リュンの後ろはまた流貴を飲み込み、今度は根元まで咥えてぎちゅぎちゅと揺れる。 ―ご、めんね、リュン・・・俺が、いなかったから・・・― 流貴の滑らかな低い声が、せつなげにリュンの耳に流れ込む。リュンは首を振って、流貴の熱の無い体を抱き寄せようともがく。 「ちが・・・ぁ、流貴の、せいじゃな・・・あんっ、も・・・はぁっ・・・気持ち、いいっ・・・!」 ―リュン・・・リュン・・・ッ― 自分を呼ぶ流貴の声に、ぞくぞくとした快感が、体中に湧きあがってくる。流貴の冷たい体に触れられているのに、流貴に愛撫されているところは火傷しそうなほど熱い。 体の中に埋め込まれた楔を締め付けながら、リュンは自分の先走りでぬめる流貴の手に任せて登りつめた。 「っあ・・・、る・・・きぃっ!!」 ―ッ・・・― 吐き出した精液はどろりと白く濁り、リュンと流貴の体を汚した。 「はっ・・・ぁ・・・」 リュンは弾む呼吸を、すぅと一瞬で整えた。 ―その癖、まだ治って無い― 「あ・・・」 呆れたような流貴に指摘され、「いくらアサシンでも、セックスの時ぐらい余韻を大事にっ!」と、むかし言われたのを思い出した。 「すまない・・・」 ―いいよ?何度でも、気持ちよくしてあげるから― ちゅっとリュンの頬に、流貴の唇が吸い付く。リュンの中の流貴は、まだ硬く形を保っている。それがわかって、リュンは頬を染めた。 「流貴・・・?」 ―・・・リュンの中、気持ちよくって・・・動いていい?― リュンが頷くと、少し力が緩んだとはいえ、まだぎちぎちと締まる中を、流貴がゆっくりと動いた。 「ぁ・・・うっ・・・!」 ―まだ痛い?― リュンは首を横に振る。 「そう・・・じゃ、な・・・ぃっ。は、ぁっ・・・ん!」 一度絶頂を越えて敏感になった中を擦られて、腰が砕けそうなのだ。潤滑剤代わりのポーションが、ちゅぷちゅぷと音を立てて恥ずかしい。 「はっ・・・ひ、ぁ・・・っ!るき・・・ぃ!」 ―はぁ・・・リュン、気持ちいい・・・・・・ぁ・・・― 流貴は不意に動きを止めると、リュンの膝をぐいと押し上げた。 「っ・・・なに、する・・・」 ―いや・・・俺半透明だから、中見えるかな・・・うごっ!― 音速で飛んできたリュンの拳が、容赦なく流貴の額を撃った。 ―痛いっ!萎える!― 「腐って落ちてしまえっ!」 ―いたたたたっ!腐る前に喰いちぎられそ・・・― 「やかましいっ!」 ―スミマセンでした、お願いだから叫ばないでくださいぃ!― モンスターと言うより、やっぱり流貴にしか思えない言動に、リュンは顔を赤くしながらも涙目になる。流貴はといえば、額と大事な所の痛みに情けない苦笑いを浮かべている。 ―もうしないから。ゴメンナサイ・・・― ぷいっと横を向いたリュンの頬に、流貴の唇が吸い付く。 ―リュン・・・ごめん― 「・・・わかったよ。はやくしろ」 ―うん― リュンの頬や目じりにキスをしていた流貴の唇が、リュンの耳をはむと甘噛みした。 「んっ・・・」 耳元や首筋にかかる吐息は冷たいが、リュンの性感帯の上を這っていく舌や唇は、柔らかい。また緩やかにやってくる快感に、リュンは背をしならせた。 「はっ・・・ぁん・・・っ」 ―リュン・・・好きだよ・・・― 「流貴・・・っ」 リュンは体を火照らせながら、また、冷たい流貴の肌と自分の肌を合わせ、どうにかして温もりを分けられないだろうかと、ぼんやり考えはじめた。さっきは上手くいかなかったが、いまなら大丈夫だろう。 流貴の背に腕を回し、ぎゅっと抱き寄せると、ひんやりとした胸が当たった。同時に、体の奥を突き上げられる。 「っあ、ああァッ!・・・はっ、ん・・・っ!」 ―リュン・・・ッ― 抱きしめている腕の中も、擦られて気持ちがいいと締め付けるそれも、寒気がするぐらい人間ではない。それなのに、ずっとしていなかったリュンのいいところをすぐに探り当て、昔と変わらないやり方で、リュンの中を満たしていく。 「ひぁ・・・っ!あっ・・・る、き・・・!流貴、好き・・・だ・・・ッ!やぁっ!・・・ぁ、イイッ・・・!」 リュンは泣きながら訴えた。 両脚を開かされ、少し浮いた腰のありえない場所に、太い楔が我が物顔で出入りしている。そうされるのが良くて腰を振ると、抱き寄せられて、リュンと流貴の腹の間に挟まって擦られるリュン自身に、さっき自分で吐き出した精液が絡まって、また卑猥な音を出す。 「ひっ・・・ぁ、アッ!あ、ぅ・・・っるきぃ!」 ―はっ・・・ん、リュン・・・リュン、熱いよ・・・― 激しくて、中を擦られる快楽を思い出した体が、暴走するように流貴を求める。ぎゅうぎゅうと締め上げ、奥まで突いて欲しいとうごめく。 「もっとぉ・・・っ!ぅああっ!」 ―・・・っ、リュン・・・このまま、― 「いいっ・・・い、っしょ・・・にっ・・・もうっ・・・ッ!」 ―リュンッ・・・!― ぐりぐりといいところを突き上げられて、リュンは銀髪をかき抱きながら達したが、同時にどくっと冷たいものを腹の中に感じて、悲鳴を上げてのけぞった。 どうしても、腕の中の人は、温かくならなかった・・・。 |