都合のいい関係 2
雷の王は必至に声を殺しているが、完全に薬の回った体では、より強い快楽を求めずにはいられない。
髪を掴むように頭を抑えられたまま、破壊王は雷の王が動くに任せて、喉奥まで受け入れて、吸い上げた。 「っ・・・く、ぁ・・・うっ!」 張り詰めたものを根元まで咥えたまま、濃い奔流を次々に飲み下す。まるで一流の娼婦のような技すら、破壊王は平然とこなした。 「まさか、気分が乗らなくてあっちもご無沙汰か?ずいぶん濃いぞ」 一滴残らず吸い上げ、すべて飲み干した破壊王は、口を離してこぼれた唾液をぬぐった。 荒い息をついている雷の王は目をそむけたままだが、破壊王の手の中では、すでに一度達したとは思えないほど怒張した物が脈打っている。 破壊王の唾液が伝い落ちた脚の奥に指を這わせると、小さなうめきとともに、雷の王の体がこわばる。 「もう欲しいのか?」 窄まりを探り当て、ゆっくりとその周縁をなぞり上げる。ほんの指先だけもぐりこませ、意地悪く、だが傷つけないようにえぐる。 「あっ!ふっぁ・・・う、ぁっ・・・」 「どうなんだ?」 しかし、薬が効いているとはいえ簡単に折れるのがしゃくなのか、破壊王を睨みすえる金褐色の目はまだ正気だ。 「お前に・・・薬が、まわるまで・・・待ってやる」 「・・・さすがだ。惚れ直す」 「ほざけ」 名工が手がけた彫刻のような美貌が、甘い疼きに耐えながら忌々しげにゆがむ。 その唇に口付け、可愛くないことばかり言う舌を舐る。音を立てて吸い上げ、逞しくもしなやかな首筋に歯を立てる。 「んっ・・・」 「くくっ。我ながらよく効く物を作ったものだ。酒と一緒に飲んでは、やっぱりまずいか」 快楽に体を火照らせてしなだれる雷の王を見ているだけで、破壊王の雄はいつもよりずっと早い開放を求めてきた。 「先に慣らすぞ」 破壊王が舌で湿らせている物を見て、雷の王は仕方ないとでもいう風に脚を広げた。 濡れているとはいえまだ固い窄まりに、決して小さくはない球体が、ひとつふたつと、ゆっくり埋め込まれていく。 「く・・・ぁあっ、はぁ」 進入してきた異物に喘ぐ雷の王の目の前で、破壊王はローブをくつろげ、天を突く巨根をさらした。強く多毛な茂みから下腹部を縦断するように聳え立ち、色は日に焼けた赤銅色の肌よりさらに濃い。まるで筋肉で出来ているかのような堂々たる筋の張り方と、そこに絡みついて脈打つ血管。 同じ物を見た者は、青ざめて絶句するか、「凶悪」と苦笑うかの、たいていどちらかだ。 「相変わらず、冗談みたいなデカブツだな」 「小さいと雷のイイところに届かないのでな」 「よく言う・・・」 雷の王はソファから引き剥がすように体を起こすと、躊躇うことなくそれに口付けた。淫らな凹凸を舌で愛撫しながら先端を咥え込むと、大胆に頭を振り始めた。 男の舌とは思えない、まるでベルベットのように柔らかく心地よい感触が、欲情を煽る水音を立てて吸いついていく。 「っ・・・やっぱり、あんたのフェラが最高だ」 当然だとでも言いたげに、ちらりと雷の王の顔が上向いた。その瞬間走りぬけた刺激に、危うく破壊王はイきかけた。 「そのままソファを降りて、膝を開いて・・・そうだ」 従順に従った雷の王の額を撫で上げると、唾液に濡れ光る破壊王の男根を咥えたまま、快楽に潤んだ目が切なげに見上げてくる。たまらなく扇情的な光景だ。 「雷・・・またイきたいか?自分でしていいぞ」 雷の王が再び破壊王に奉仕し始めると、それとは別の濡れた音が混じった。 「んっんっ・・・んふ、ぅぐっ!・・・ぅうっ!」 乱暴に自分をしごいて、その快感に喘ぎながらも、雷の王は破壊王を放さずに口淫を続ける。 その蕩けた表情を見下ろしながら、破壊王は雷の王の頭を軽く抑え、自らの欲望を満たし始めた。 時折痺れたように舌が硬直する瞬間を狙って、破壊王はさらに腰を突き出す。それだけで、雷の王から最後の理性が溶け去った。 「んっ、ぐぅっ!ふっ・・・んんっ!!」 口腔を犯されながら腹の中の玩具を締め上げ、自慰で達した瞬間を瞬きせずに見守った後、破壊王は己を引き抜いて、絶頂に戦慄く美しい顔に、たぎった白濁の獣欲を浴びせかけた。 額に眉間に頬に鼻梁に飛び散った精液が、口元を伝って、大きな雫を作っては滴り落ちていく。その先では、自らの精液に濡れた雷の王の手が、ゆっくりと自分のものから離れていくところだった。 すっかり快楽に蕩けた、ぼんやりとした眼差しが揺らぎ、同時に崩れ落ちそうになる肩を、破壊王が素早く抱き上げた。 「・・・はぁっ・・・は、ぁ・・・っ」 「いいイきっぷりだ」 ぐったりと破壊王にもたれかかった雷の王から、するりとバスローブが脱げ落ちていく。よく引き締まった筋肉質な体を抱えて、破壊王は眉をひそめた。服の上から抱きしめた時にも不審に思ったが、やはり以前抱いた時よりも、明らかに痩せていた。 「・・・」 キングサイズのベッドに運び、汚れた顔をぬぐってやると、長い睫が震えた。 「・・・ック・・・」 かすれた声が、しかし隠しようもない熱情を伴って、破壊王を呼んだ。かすかに震えた手が破壊王の手をとり、その指先についた精液を舐め取った。 そのまま口を開かせて舌を挟もうとすると、滑らかに舌が踊り、指を吸い込むようにしゃぶられる。 「つらいか?いま、よくしてやる」 大きなクッションを引き寄せ、そこにうつぶせると、雷の王は自ら膝を立てて高く腰を掲げた。アナルビーズを含んだ菊座が、切なげにひくついている。 適度に引き締まった筋肉がついた尻を撫で、中をこすられることを待っている入り口と、放った物が収まっていたふくらみを、音を立てて丹念に舐め上げる。 「っ・・・破壊王ッ・・・!」 「なんだ」 「なんだ、じゃ・・・ないっ!も・・・はや、く・・・っ!」 上ずったかすれ声に、開かれた脚の間に手を忍び込ませて、変わらぬたぎりをあらわにした物を握りこんだ。 「っ・・・!」 かろうじてクッションに吸い取らせた悲鳴が、破壊王の耳に心地よく響く。そのくぐもった音色が、再び開放を求める強く甘い痺れを、いっそう掻き立てた。 双丘の谷に指を滑らせ、快感のために逆に強く締まったそこに、甘い芳香を放つ香油を丁寧に塗りこむ。 すすり泣くような途切れ途切れの吐息に、細い紐に繋がったリングを引く。 「ひっぁああぁっ!あっ、ぅあぁあっ!!」 腹の中の物を引きずり出される感覚に、忘我の嬌声が、捩れ波打ったシーツの上に響き渡った。 乱れた長い金髪が、きちんと厚みと幅のある、逞しい肩や背にわだかまっている。荒い呼吸に上下する背を撫でると、堪えきれないように腰が動いて、破壊王に押し付けられる。 そこに重みのある甘い香りを放つ香油を垂らし、快楽をねだる入り口に指を滑り込ませる。雷の王がよがるポイントは知っているが、そこを避けて派手な淫音だけをかきだすと、破壊王の指をしゃぶるように吸い付いてくる。 「ひっ・・・ぃん・・・」 「我慢できないか」 「あ・・・も、っと・・・っあつ・・・い」 破壊王は指を引き抜き、十分に香油をなじませた巨槍を、熱く狭い中へと埋めた。 「あっアアッ!」 大きすぎるもので固く鋭敏になった所をこすってしまい、破壊王はそのまま狭く硬直した奥へ入れたい欲を押さえた。雷の王の腹に手を回し、反り返った強張りに触れると、とめどなく精液が溢れ、シーツを汚していた。 握りこんで括れをなぞり、丁寧に愛撫すると、気だるい吐息が艶めき、体の中心がほぐれ、再び快楽を求めて蠕動する。 「これでいいか?」 「い、いっ・・・クラッ・・・やぁっ!お、く・・・っう!」 望みどおりに奥まで満たしてやると、喜びに打ち震えるように、破壊王の物に絡み付いてくる。そろそろ、破壊王も薬の効果を理性で押さえる限界だ。 「いいぞ、雷。中をこすってやる」 きつい中を引き、突き込む。意味を成さないような甘い悲鳴を聞きながら、緩やかだった動きは、リズミカルに激しさを増す。粘つくような水音と、肉のぶつかり合う弾ける様な音に、らざつく腸壁が波打つように締まって、破壊王の太い竿とくっきりした括れを甘噛していく。 「ああっ!あ、ひっ・・・!こわ・・・ク、ラック・・・!壊れ・・・あぁっ!!」 「ここだろう?雷が壊れるところは・・・」 「ひいっ!あ・・・もっと、で、るっ!も・・・イ・・・っ!ぁああッ!」 「・・・っ!」 ぬらつく中が波立ち、最奥は嘗め回すように先端に吸い付き、まるで吸い込むように締め上げてくる。淫らに快楽をむさぼる嬌声を糧に、破壊王は雷の王の深くまで侵し、求められるままに蹂躙して、劣情で汚した。 「あぁっ・・・はあっ・・・は・・・んっ!まだ・・・ぅあっ、あ、うご、か・・・っ!」 「よさそうに・・・締め付けてくるぞ」 中に出したまま抜くことをせずに、破壊王は器用に雷の王の脚を持って、仰向けさせるように体勢を変えた。その動きは、通常雷の王に負担をかけるものだが、今はその苦痛すら快感として受け入れた。 「んくっ・・・ぅ、はぁっ・・・あぅっ!」 伸びやかな脚を抱え、再び激しく打ち付ける。甘美な熱に浮かされ、破壊王の名を呼ぶ声に蕩かされ、腕の中の体を抱きしめた。 |