好きな彼氏は好きですか



のほほんとした春の日。
カフェのすみっこの席で、三人の男がお茶をしている。

ブラックスミスとハイウィザードの前には、それぞれコーヒーカップがあるだけだ。
だが、クリエイターの前にはティーセットの他に、イチゴババロア、レモンパイ、生クリームの上にメロンやさくらんぼがトッピングされたプリンアラモード、それにアイスクリームとかんきつ類が入ったチョコレートパフェが並んでおり、彼はそれらを黙々と口に運び、瞬く間に器だけにしていく。

サカキが所有していた雑誌に、ハロルドがやたらと感銘を受け、頼み込んでいまそれをユーインに見せているのだ。
二人は広げた雑誌を覗き込んで、一緒にクスクス笑っている。

「ぶっ・・・、無理だってwww」
「これは神業www」

ハロルドとユーインが見ているのは、いわゆる成人向け雑誌であり、そのなかで外国のエロ指南書を紹介していた。
興味津々な若者には、様々な体位は参考になるものの、なかにはベッドですることじゃないような、アクロバティックなものもあり、二人は大きな声で笑わないように必死だ。

「あー面白かった」
「使えそう?」
「いやぁ、さすがに・・・いくらハイウィズでも浮けないしな」
「クロムさんに浮くなって怒られそう・・・!」
「ぷぷぷっ!」

またひーひー言いながら二人がしのび笑いを漏らしている間に、綺麗に空になった器の向こうで、サカキがゆっくりとティーカップを傾け、文庫本を開いた。

「ねーねー、サカキさん」
「ん?」

雑誌の所有者は、まったく動じた様子もなく、年下の恋人と友人を眺めやった。

「こういうの、本当にするんですかね?」
「試したことないのか?」
「なっ・・・」

ユーインに茶々を入れられて、ハロルドが顔を赤くする。

「いくらサカキさんが上手でも、こんなのできるわけないでしょ」
「ハロさんも浮けないしなぁ」
「無理だよ!」

楽しそうな二人が開いたままの雑誌に視線を落とし、サカキは手の中の文庫本を、ぱたんと閉じた。



「いいだろう」



「「は・・・(ノノノд゚)゚д゚)?」」







ぽかんと口を開いた二人を真っ直ぐに見詰めたあと、サカキはハロルドに視線を移した。






「試させてやる」







「:*.;".*・;・^;・:\(*´▽`)/:・;^・;・*.";.*: 」

「(;ノノノ△ ̄)!?」





伝票を片手にさっさと席を立つサカキを追いかけて、ハロルドも慌てて立ち上がった。

「じゃあな、ユーイン」
「またねヾ(^∀^*)」

「・・・・・・(ノノノд゚)ノシ」





そのあと、なんだか悔しくなって溜まり場に戻ったユーインが、自分の恋人に「しよう!」と言って、鉄拳をくらったとか連続HLを撃ち込まれたとか・・・。



「なに考えてんだバカーっ!!!」



あぁ、哀れ・・・。




END