白雪姫
むかしむかしあるところに、とても可愛らしいクロムという名の王女様がいました。
王妃様が、雪のように白い肌、血のように赤い瞳、絹糸のように白い髪の、美しい子供が欲しいと願われたためです。 「僕が一番優秀なアルビノだからね!」 王妃様のルカは、とても美しく、とても自信家でした。そして、正直な魔法の鏡に問いかけます。 「鏡よ鏡、世界で一番美しいアルビノは誰だ?」 「それはルカ様です」 「とーぜんだよね」 ところがある日のこと。 「鏡よ鏡、世界で一番美しいアルビノは誰だ?」 「それはクロム姫です」 「(ブチッ)・・・・・・アシュ!!」 王妃様は狩人のアシュレイに、クロム姫を殺して、その赤い目を持ち帰るよう命じました。 ところが、アシュレイはクロム姫をかわいそうに思い、深い森の奥へ逃がしてあげたのです。 「ルカが怒るんじゃ・・・」 「その辺のスプリングラビットを倒していきます。クロム、気をつけて」 アシュレイはスプリングラビットの赤い目を代わりに持ち帰り、王妃様を満足させました。 一方、森の奥へ逃げたクロム姫は、アシュレイがくれたスプリングラビットの肉で飢えをしのぎましたが、険しい道を歩き通して、くたくたになってしまいました。 夕方になって、とても心細くなった時、運のいいことに一軒のお家を見つけました。 「よかった。ここで休ませてもらおう」 森の中の可愛らしいお家に入ると、大変疲れていたクロム姫は、ベッドのひとつで眠り込んでしまいました。 「はい・ほー♪はい・ほー♪こえ〜をそろえ〜♪」 しばらくすると元気なマーチが聞こえてきて、クロム姫は目を覚ましました。 「「「「「「「ただいまー!」」」」」」」 斧や鈍器を担いでお家に入ってきたのは、7人の小さなブラックスミスでした。 「わーい!クロムさんだ〜!!」 「お酒出してきますね!」 「おなか空いたでしょう?御飯はなにがいいですか?」 「ドレスが裂けていますよ。つくろいますね」 「クロムさんのお部屋も用意しますね」 「すぐにお風呂を沸かしますよ」 「何か困ったことがあったら言ってくださいね」 7人のブラックスミスは、きゃぁきゃぁと賑やかだ。 「・・・ハロさんが7人に増殖した・・・」 小さなハロルドたちは、突然現れたクロム姫を歓迎して、まめまめしくお世話をするのでした。 「あの、俺も何か・・・」 「大丈夫ですよ。特に・・・」 「「「「「「「料理は俺たちがしますから」」」」」」」 有無を言わせぬ主夫の笑顔(×7)の迫力に、クロム姫は用意されたカナッペをつまみに、酒盃を重ねることにしました。 クロム姫は至れり尽くせりな森の生活をしていましたが、そのころお城では・・・。 「鏡よ鏡、世界で一番美しいアルビノは誰だ?」 「それはクロム姫です」 「はぁ!?クロム死んだんじゃないの!?」 クロム姫が生きていることを知った王妃様は、貧しげな物売りに変装して、クロム姫がハロルドたちと暮らす森に行きました。 「そこの綺麗なお嬢さん、美味しいリンゴはいかが?」 「わぁ!ハロさんたちにアップルパイにしてもらおう」 たくさんのリンゴを手に入れたクロム姫は、その中のひとつをかじりました。 「あ・・・!」 「くっくっく・・・」 王妃様が作った毒リンゴを食べてしまったクロム姫は、深い深い眠りに落ちてしまいました。 仕事から帰ってきて、倒れているクロム姫を見つけたハロルドたちは、とてもとても悲しみました。 「ふぇぇん・・・どうしよう・・・」 「サカキさんがいたら治してくれるのに・・・」 ハロルドたちは、目を覚まさないクロム姫をガラスの棺に納め、途方にくれました。 そのとき、狩りをしていて森深くに迷い込んだ隣国の王子様が、悲しんでいるハロルドたちを見つけました。 「どうしたのハロさんたち?」 「「「「「「「ユーインさぁあああん!!!」」」」」」」 わらわらいるハロルドたちから事情を聞くと、ユーイン王子はガラスの棺で眠るクロム姫を見て、一目で恋をしてしまいました。 「なんて綺麗な人だ・・・」 「ちゅーまでですからね」 「意識がないときに襲ったなんてサイテーですから」 「わかってるよ!!」 クロム姫を好きになったユーイン王子は、クロム姫を奥さんにするべく、そっと誓いのキスをしました。 「ん・・・?」 長い睫が震え、深紅の目が開きました。 「クロムひ・・・ふごっ!」 「「「「「「「クロムさぁあああん!!!!」」」」」」」 王子様のキスで目を覚ましたクロム姫に、ハロルドたちは泣いて喜び、数の暴力で押し潰してしまったユーイン王子が助けてくれたのだと、引っ張り起こしました。 「ありがとう、ユーイン」 「うん、そういうわけで妃になってくれ」 「は・・・?」 「いざ、凱旋!!」 クロム姫はユーイン王子と結婚して、隣国で幸せに暮らしましたとさ。 めでたし、めでたし。 |