彼と彼氏の恋愛事情 −8−
サカキのベルトを外し、ファスナーを下ろして解放してやると、綺麗に色づいた楔がそそりたった。
「わぁ・・・もうえっちな液が出てる」 「ひぃっ!」 ハロルドは透明な雫が溢れ出した先端をちゅぱっと咥え、味わうように舌を動かした。 「く、ぁああっ!はぁっ・・・んっ、ハロ・・・!」 「んふぁ・・・ひもひいい?」 「ひあぁっ!!」 繋いだ手の甲に指先が食い込んでそろそろ痛いので、ハロルドは自分の頭にサカキの手を導いた。そろそろと撫でられるまま、大きく育った楔の根元まで口に含む。 「はぁ・・・んぅ、ああっ!あっ、気持ち、いい・・・!」 理性が解け去った甘い声に気がよくなり、ハロルドはフリーになった両手でサカキのトラウザーズを抜き取った。すべすべの太腿を撫で上げて、大きく両脚を開かせた。実にいやらしい格好で、ハロルドの息も弾む。 「なに、す・・・」 「もっと、気持ちいいことです」 ハロルドはポケットから潤滑ジェルの瓶を取り出し、封を解いて中身をあけた。少し冷たいそれを手に絡めて温め、誰も触れたことがないだろう窄まりに指先を当てた。 「あ・・・あぁ・・・っ!」 「大丈夫。力抜いて」 「ひっ!!」 楔の付け根をぺろりと舐めると、きゅっと締まった。指先だけでも押し返そうとする内壁をなだめながら、慎重に解していく。 「はぁっ・・・はぁ・・・はろぉ・・・!」 「サカキさん、上手ですね。もう一本はいりますよ」 ハロルドが三本目の指をぐちゅっと捻じ込むと、サカキはたまらない様子で体をよじった。 「ひああああっ!!」 「ここ、気持ちよかったですか?」 「あ、ああっ!やめっ・・・やめろ・・・も、でる・・・!!」 ハロルドはきゅんきゅんと締め付ける中をさぐり、いいと思われる場所を擦りながら、反り返ったまま、ぽたぽたと自身の腹を汚しているサカキの楔を、吸い込むように頬張った。 「ひいぃっ!!ぃ、ああぁっ!ハロ!ハロルド・・・もぉ、イくぅっ!!で、るぅ・・・っぁあああ!!」 脚を広げて、自分の股間にハロルドの頭を押し付け、後ろの穴をぐちゅぐちゅといじられながら、サカキはハロルドの口の中に放った。 ハロルドは、自分の口の中をどぷどぷと犯していく愛しい人の精液を飲み干し、その青臭い迸りにうっとりと酔い痴れた。 「はぁーっ・・・はぁ・・・」 「ふは・・・んっ、すごい・・・サカキさん美味しい」 がちがちに締め付けているアナルから、そっと指を引き抜くと、びくびくと痙攣する体を抱き上げ、ベッドに運んだ。 「間に合ってよかった。他の男にこんなことされたら、俺、きっと気が狂っちゃった」 まだ放出の快感にぼんやりしているサカキに囁くと、ハロルドは自分の服を緩め、先走りでべとべとになった雄を取り出した。 ハロルドは硬く反り返った自分のモノに、たっぷりとジェルを馴染ませ、できるだけ負担をかけないよう、慎重にサカキの腰を抱えた。 「アアッ!はいって・・・入ってくるぅッ!!」 じゅぷっと先端が埋まり、ハロルドは己の硬さに任せて、熱い中をゆるゆると拓いていった。 「はっはっ・・・ぁ、で、かい・・・!」 「あぁ・・・すごい、サカキさん・・・こんなにっ・・・はぁ・・・っ!」 十分濡れているが、きつきつな上に不規則に締め付けてくるので、すぐにイかされそうだ。 「ぁ、あ・・・きもち、いい・・・!」 サカキの両脚ははしたなく広がり、もっと快感を得ようと浮き上がろうとする。だが、片腕が胸前に固定されているので、シーツの上で体がずり上がってしまう。 「ハロ・・・ハロぉ・・・!」 「えっちなサカキさんも可愛い」 快楽に蕩けた眼差しに乞われ、ぎゅっとしがみついてくる片腕に導かれるまま唇を貪る。両脚を抱え上げ、深く、さらに奥まで、サカキの中を突き、抉った。 「んはっ!ぁああ!あああっ!!」 「こうでしょ?欲しいって言って」 「イイッ!ほし、ぃ・・・!ハロルド、ハロルドが欲しいっ!!」 根元まで埋まり、打ち付けるたびにぱちゅんぱちゅんと音がする。サカキの腹の中は、太いハロルドの雄がみっしりと占拠し、そうとう苦しいはずなのだが、その太いのがいい所を全部擦って突いてくれるのか、サカキの雄も反り返っている。 「ハロぉ・・・好き・・・ずっと、好き・・・欲し、かった・・・!」 「ッ・・・!!サカキさん・・・」 ハロルドの胸がきゅんと鳴り、同時にサカキを犯す楔も、さらに硬く大きく膨らんだ。ぐちゅぐちゅに解けたサカキの内側が、嬉しそうに絡み付いてくる。 「あ、ああっ!」 「気持ちいい・・・奥に出しますね。はぁっ・・・サカキさんの中・・・俺で、汚しちゃいますねっ!」 「あっ!あぁっ!!おく・・・広げて・・・っ!あぁっ!そこ、イくッ!!ハロルド!!イっちゃうぅっ!!!」 ぎゅううぅっと締まる中に激しく突き入れ、腹に温かい飛沫が当たるのを感じながら、大事な人の一番奥に、自分の精液を植え付けるように注ぎ込んだ。 「くっ・・・ぅ!」 「ぁ・・・あぁ・・・っ!で、てる・・・ぅ!また、イく・・・!!」 「サカキさん・・・大好き」 目尻からぽろぽろと零れる涙を吸い取ってやりながら、ハロルドはサカキの刺激された劣情が尽きるまで、ずっと抱いていた愛しさを捧げ続けた。 サカキはペンを投げ出し、しわが固く寄った眉間を揉み解した。 利き手でない左手で書いた文字が、ぎたぎたよれよれと、ノートの上にのたくっている。それを見ると、また眉間に深いしわが寄った。自分でも、なんと書いてあるのか、一見だけでは読めない。 「やれやれ・・・」 サカキは三角巾を外し、若干震える右手で、ペンを持ち直した。幸い、完全に腕が動かなくなることは無かったが、当分の間は鈍器を振り回すことができそうもない。 手に力を入れて紙にペンを走らせると、右腕全体に張るような痛みとだるさが響いたが、短時間なら読める字で書けそうだ。 帳簿と、日誌と・・・それから、個人の日記と。一冊増えた書棚に頬が緩む。 「サカキさん、ただいまでーす」 「こんちはー」 「おじゃまします」 サカキがペンを置いて部屋を出ると、ハロルドと、ハロルドの引越し荷物をカートに積んだユーインと、その二人と同じエンブレムをつけるようになったクロムが、教会の扉をくぐっていた。 「おかえり」 ハロルドがサカキと一緒に、教会に住むことになった。普通は許可のでないことだが、今回は聖職者の不祥事もあり、負傷したサカキの業務を手伝うという名目で、大聖堂側が口止め料代わりに許可したのだ。 物置になっていたのを整理した狭い部屋に、ハロルドの荷物が下ろされると、ユーインとクロムはすぐに帰ると言った。 「一休みしていけばいいのに」 「これから、ギルドハウスの中も引越しなんだ。ハロがいなくなって、俺もクロムと相部屋にしたいからさ〜」 だらしなく顔を緩ませながらも嬉しそうに言うユーインの横で、綺麗なクロムは顔を赤くしてうつむいている。 二人が帰ると、ハロルドは手早く自分の部屋を整え、サカキのためにお茶を淹れた。サカキがほとんど役立たずであるのを差し引いても、なんともまめまめしい。 「ねぇ、サカキさん」 「ん?」 「俺、すっごくすっごく、幸せです」 尻尾があったら千切れそうなほど振っているだろう笑顔で、恥ずかしいことを言ってくれたハロルドに、サカキは斜めになっていたカップをちゃんと持ち直して、小さく微笑んだ。 「神に感謝しろ。ハロルドのがんばりを見守っていてくださったに違いない」 「えへへ」 サカキの照れ隠しなどお見通しなのか、この子犬耳を付けた葱は、サカキに擦り寄ってくる。 素直になれと言われた気がして、サカキはふさふさの茶髪を、愛しさを込めて撫で、ピンク色をした、ふっくらと柔らかな唇に口付けた。 「愛している。どこにも行かないでくれ」 「はい。もちろんです」 うっすらと頬を染めた、きらきらとした笑顔。きっと、この笑顔を見るために生まれてきた。サカキはそっと、自由になる腕でハロルドを抱きしめ、そして、両腕でしっかりと抱きしめ返されるのを、幸福に感じた。 |