ほんとの君を見せて −6−


 ゆったりとした風呂場で汗を流し、レヴィーは景気よく湯船に飛び込んだ。
「あ〜、ごくらく〜」
 まだ日も高いうちから風呂に浸かれるなど贅沢だが、コラーゼが用意してくれたので、レヴィーは遠慮なく体をほぐした。
 朝から悩んでいたことが、なにやら互いの早とちりだったようで、誤解が解けて気分もいい。コラーゼを無理に臨公に誘わなくていいとわかったことも、大きな安堵のひとつではある。
(ったく、あんなに泣くんじゃなかった。ちょっとwisで確認すればよかったのに・・・俺馬鹿だ)
 思い出すだけで恥ずかしい。だが、コラーゼに会いたくて急いで帰って来たのに、誰もいなくなった家に入った時の恐怖と寂寥は、言葉にならないほどだった。
 気をまわしすぎないで、最初からよく話し合ってみれば、何のことはなかったのだ。大事なものは失った後に気が付くなどとよく言うが、実践されなくて本当によかった。
 どうしてオーランが警告めいた事を言ったのかも、なんとなくわかった。レヴィーがレベル上げのためにコラーゼと付き合っていると見られたのは不本意だが、レヴィーもコラーゼがソロで上げられて臨は苦手なのだと知らなかったことを、オーランも知らなかったのだから、そこは仕方がないだろう。それよりも、コラーゼにあんな態度をとらせてしまうほど傷付けた人間の方に腹がたった。
(俺はそんなこと絶対にしない)
 言い方がきついなどとはよく言われるし、その自覚はある。でも、誰かを利用して自分が得をしようと思ったことは一度もない。
(コラーゼとなら・・・)
 怒鳴ったり呆れられたり、喧嘩しながらでも、レヴィーを受け入れてくれるコラーゼが好きだった。レヴィーの隅々まで愛を注いでくれるコラーゼだから・・・。
(・・・・・・ハズイ)
 また手指がむずむずしてきて、レヴィーは湯船の中で両手を組んで、むぎむぎと握ったり緩めたりしてみた。
 まったくどうかしている。昨夜ベッドで指を舐められただけなのに、こんなに意識が後を引くなんて・・・。
「弓が持てなくて、引退するしかなくなったら、どうしてくれるんだ」
 もうしそうなったら一大事なのに、逆にコラーゼの嬉しそうな笑顔が見えた気がして、レヴィーは湯の中に沈みそうになった。レヴィーの全てがコラーゼにからめ取られていくようで、ひょっとしたら淫魔よりも性質が悪いのではないかとも思う。
「あー!もう!!」
 早々に風呂から上がり、がしがしと大雑把に体を拭うと、レヴィーはふんと気合を入れた。
「コラーゼっ!!」
 寝室どころかベッドに飛び込めば、すべて了承しているかのように、でれでれと顔をだらしなくさせたコラーゼが抱きとめてくれる。
「なんだ?」
「昨日の続き。明日はもう狩りにいかない。一日中、コラーゼに我侭言ってやる」
 コラーゼをベッドの上に押し倒したまま一気にまくし立てると、レヴィーの髪を下ろして隠れた耳に、コラーゼの指が這った。
「んっ・・・」
「いつも以上に敏感だな」
「うっせぇ。・・・返事は?」
「仰せのままに。大好きだよ、レヴィー」
 頭から抱き寄せられて、ちゅっと唇が触れる。レヴィーは自分の頬を包むコラーゼの両手を、自分の両手で塞いでベッドに押し付けた。淫魔以上に厄介なコラーゼの唇に舌を挿し入れ、唾液が溢れるのもかまわずに歯も舌も舐めまわす。
「はっ・・・んっ、レヴィー?」
「他の奴に指触られんのは嫌だ」
 指を絡めた両手をきゅっと握ると、あやすように柔らかく握り返される。
「触っていいのは俺だけ?」
 コラーゼが手をつないだまま、レヴィーの親指の付根に、ちゅっと口付ける。それだけで、レヴィーの背はぞくぞくと震えた。
「っ・・・、コラーゼだけだ。手をつないでいいのもコラーゼだけだ。だけど!な・・・舐めたりするのは、えっちの時だけな」
「わかった」
 コラーゼの嬉しそうな微笑を見て、レヴィーは恥ずかしいことを言った以上に顔が熱くなった。
 レヴィーの条件は、よくよく考えればいままでと変わらない。合わさった手のひら同士が熱く感じた。
「レヴィー・・・」
「はっ・・・ぅんっ!!はぁっ、コラーゼ・・・!」
 互いの部屋着を剥ぎ取り、温かな肌を撫で回せば、欲望に正直に立ち上がるそこへずくずくと熱が集まってきて、レヴィーはコラーゼにまたがったまま、ふるりと背を反らせた。
 硬く芯を持って尖った胸も触って欲しかったが、とにかく弱い腰まわりを撫でられて、落ち着いて快感を追えない。
「ひやぁっ!あっ!あんっ・・・そこ、ばっか・・・っ!」
 尻をもっと開くように揉まれ、尾てい骨に指先が当たると、自分でもびっくりするような甘い声が出る。腰骨の形を確かめるように親指の腹が滑り、腿の付根からぴんと立ち上がった楔へ・・・しかし、先端に先走りを滲ませたそのものへは触れてくれない。
「んぁ・・・っ!はっ、あぁっ!もっと・・・もっと、触れよ!」
「じゃあ、こっち舐めて」
「ん・・・ふぁう・・・」
 差し出されたコラーゼの指を口に含むと、レヴィーの指もコラーゼの舌に絡み付かれた。
「はむ・・・んっ、くちゅ・・・」
「ぁうぅっ!はっ・・・ん、こあーひぇ・・・うぅっ!」
 コラーゼは巧みにレヴィーの指を愛撫してくれるが、レヴィーのほうは咥えたまま喘ぐしか出来ない。ぽたぽたと唾液が零れ落ち、レヴィーの顎とコラーゼの手を濡らしていく。
「はっ・・・ほら、触ってあげるよ」
「ん・・・はぁっ」
 やっと解放されて力が抜けたところに、つぷりとコラーゼの濡れた指が、レヴィーの固い窄まりに入ってきた。
「あぁっ!!あんっ・・・はぁ、ぁあっ!!」
 力が入らないせいで抵抗も弱いのか、コラーゼの指はすんなりとレヴィーの中に入ってきて、もっと大きなものを入れるために広げようとぐにぐにと動く。
「こ、らーぜぇ・・・っ!」
 レヴィーは両手をついて耐えるが、硬く立ち上がった欲がコラーゼのものとぶつかるように擦れて、余計に我慢が出来ない。
「まだ狭いよ」
「いぃっ・・・も・・・はやくぅ・・・!」
 このままでは先にイってしまいそうで、レヴィーは自ら腰を上げて、ジェルをつけたコラーゼを納めるべく、解された窄まりにあてがった。
「はっ・・・はぁああっ!ああぁんっ!!」
「っ・・・!レヴィー、もっと、ゆっくりでいい・・・」
 慌てたようにコラーゼが支えてくれるが、レヴィーのそこはみっちりとコラーゼを咥え込んだまま、自分の体重に逆らえずにずぶずぶと飲み込んでいく。
「かはっ・・・ぁ、はぁっ・・・ん、すげ・・・はひっ・・・」
「痛くないか?」
「ん・・・へ、いき・・・ひっ・・・ぁ、らめ・・・ひくひくする・・・ぅ!」
 体の中でコラーゼの凹凸や鼓動まで感じながら、レヴィーははふはふと喘いだ。いっぱい過ぎるし、動けない。
「レヴィー・・・可愛いな」
 また指先にちゅっと唇を感じ、レヴィーは悲鳴を上げた。
「んあぁっ!やあぁっ!むり・・・こらーぜ、らめぇ・・・っ!」
 身悶えても、体はコラーゼに深々と貫かれたまま。快感に腰が浮くたびに、再び奥まで咥える羽目になり、レヴィーは泣きながらコラーゼの名を呼んだ。
「コラーゼぇ・・・」
「イきたい?」
「はふっ・・・イ、きたいっ!・・・はっ、こらーぜ、イかせて・・・!」
 ぐいっとコラーゼに引き寄せられて体の位置が変わり、レヴィーはベッドの上に横たわって両膝を上げて、上になったコラーゼに繋がったところをさらした。
「いくよ」
 その姿勢が恥ずかしいと思う前に、卑猥な音を立ててコラーゼの肉棒が動き、性感にごりごりと当たる硬さに、レヴィーは嬌声を上げた。
「あひぃっ!いぃ・・・!らめ・・・イく!こらーじぇ、イくぅう・・・っ!」
「すごい・・・きゅうきゅう締め付けてくるよ、レヴィー」
「おく、あた・・・って・・・!も・・・すご、ぃ・・・イ・・・!こらーぜぇ・・・!」
「レヴィー・・・レヴィー・・・」
 温かなコラーゼの口の中で、指がじゅるりと吸われ、レヴィーは全身が痺れるような快感に、白濁を噴き上げた。
「あっ・・・ひっぁあああああっ!!!」
「んっんぅ・・・っ!」
 レヴィーはきつく締め付けたコラーゼが、深いところに熱い欲を吐き出すのを感じた。激しい快感とはまた別の、じんわりとした快感が、レヴィーの中を満たしていく。
「こらーぜ・・・好き・・・」
「レヴィー・・・」
 ぎゅっと抱きしめられる温もりが、レヴィーにコラーゼをずっと大事にするんだと思わせた・・・。


 しばらく後、龍之城ダンジョン深くで、連携も何もない狩り方の二人がいたとか・・・。
「シャープシューティング!!」
「待て!まだウェブ張ってな・・・」
「ぎゃー!こっちくんなー!セーフティウォールは!?」
「取ってねぇよ!!」
 互いの真実を知っても、覚えるまでは、もう少し時間がかかりそうだ。