【熱の還る刻】 −雨が上がるまで−



雨の季節。

商人達は・・・露店が出せません。

出せないことは無いんだけど・・・
濡れるの嫌だし、客も少ない。

「どこか濡れないダンジョン行きます?」
「ダンジョンに行くまでに濡れる」

そんなわけで、引きこもる二人。

「ねーねー、サカキさん」
「なんだ」
「植物栽培」
「俺の部屋をキノコ臭くする気か」

しとしとしと・・・
窓の外は、まだ雨模様。

「ねーねー、サカキさん」
「なんだ」
「これやってみたいんですけど?」
「はぁ?」

サカキが分厚い本から顔を上げると、そこには・・・

「アホか」
「えぇ〜・・・ダメですか?」

ハロルドは(´・ω・`)な顔をしているし、
それを見上げているサカキは(; ̄□ ̄)な顔をしているし。

その雑誌のグラビアは、大変♂×♂なもの。
上背のある、筋骨逞しい黒髪のチャンプさんが、
細身ながら筋肉のついた教授さんを抱き上げています。

・・・そして、ぶっすりと刺さっています。
アレが。教授さんのきれいなお尻の、アソコに。
斜め下からのアングル。修正薄いです。見えます。

「そんな体位できるかw」
「・・・この人たち、やってるじゃないですか」
「『できる』と『気持ちいい』は違うぞ・・・?」
「う・・・そうか・・・orz」

真剣な顔で悩むハロルド。
サカキは呆れてため息をつく。

「だいたい、俺だって、けっこう重いぞ?」
「俺には持ち上げられないとでもっ!?」
「なんでそうなる、この単細胞」
「とりあえず、やってみます(`・ω・´)☆」
「俺の言うこと、聞いているか・・・?(;−д−)=3」

素Int1に、何を言っても無駄ではないかな。



くちゅ・・・くちゅ・・・

「っ・・・、ハロ・・・!い、つまで・・・っは、ぁ・・・ッ!」
「だって、いっぱい濡らさないと・・・」
「も・・・」
「イっちゃいそう?」
「ひっ・・・ぁ、も・・・早くっ・・・ん、ふぁ・・・」

ちゅっと吸い付く唇。
誘う舌に、むさぼるように絡みつく舌。

「ぁ・・・ん、んっ・・・ハロ・・・ぉ!」

欲望に蕩けた瞳が、濡れた唇が、揺れる腰が、ねだる。

「サカキさんのえっち。グラビアみたいにしちゃいますよ?」
「なん・・・でも、いいか、らぁ・・・ッ!」

サカキは身体を起こし、跨って、年下の雄を導く。

「っぁ、ああ!・・・はっ・・・ぁんんッ!」
「んっ・・・すご・・・」

くちゅ・・・ちゅぷっ・・・じゅ・・・

「は・・・あ、ん・・・っ!」
「サカキさんの中、とろとろ・・・あ、・・・我慢できない」
「ぁ、・・・まっ・・・ぁあああっ!」

両膝を抱え上げられ、つま先すらシーツに着かない。
必死に腕を回して、首や肩にしがみつく。
だけど・・・開かされた脚に力が入らない。

念入りに解されて、ジェルで濡れたそこが擦られる。
ハロルドの硬く反り返った熱い雄が、
サカキの中を押し広げ、奥まで満たしていく。

「あぁンッ!ぅあッ・・・は、ひぃっ・・・!」
「はっ・・・はっ・・・ぁ、すごい、奥、締まって・・・くっ・・・」

揺すられるたびに、サカキはハロルドに、下から突き上げられる。
喘ぐたびに、ハロルドはサカキに、飲み込まれていく。

「気持ちいい・・・んっ」
「あっ・・・!」

鎖骨にハロルドの唇が吸い付き、舌が這う。
きり、と感じた時には、身体の奥でハロルドを締め上げていた。
熱い腰から、ゾクゾクと快感が突き抜けていく。

ぐちゅっ、じゅぷ・・・くちゅっ、ちゅぷ・・・

「あぁ!ああっ!あっ!ぅあ・・・、もっと・・・ッ!」
「ッ・・・サカキさん!・・・んっ!」
「駄目ッ・・・ぁ、あぁっ・・・!っイ・・・ィッ!!」

恥ずかしいほど広げられたままの脚の間で、サカキの雄が獣欲を噴き上げると、
激しく突き上げ、根元まで埋まったハロルドが、サカキの中に吐き出した。

楔だけで繋がった、縛めの無い拘束に、サカキの背がしなる。

「ふ、ぁ・・・っあ・・・ぅ・・・!」
「はぁ・・・っ・・・ぁ、すっごい・・・搾り取られそう♥」
「ば、かか・・・!」

不安定な体勢のせいで離すことができない腕を絡ませたまま、
サカキはハロルドの柔らかな髪を引っ張った。



ベッドの上に寝転がって、サカキは足腰の鈍い痛みに眉をしかめた。
クリエ服を着れば見えないだろうが、襟元のキスマークが気になる。

ハロルドの両腕は、サカキを抱えて動いていたわりには平気そうだ。

サカキは、筋肉痛の原因になった、あのゲイ雑誌を捲った。
内容がわりとガチムチな本格的なもので、
よほどコアな人しか買わないような雑誌なのだが・・・。

「・・・どっかで見たことあるんだよなぁ、このモデル」
「昔の夜のお友達ですか?」
「いや・・・全然違う所で見たような・・・」

ハロルドがベッドの上で膝をついてやっていたのを、
グラビアのチャンピオンは立ったまま、プロフェッサーとしている。
顔は見えないようになっているので、専門のモデルではないようだ。

月刊「メンズROD」(定価1800Zeny DC不可)。
7月号は『Gvの後は激しく抱いて』特集。

次号予告には、
『夏だ!海だ!屋外だ!』『男のマナー:浴衣の着方、脱がし方』。
それと、新企画『素人さん街中ウォッチング』とある。

「街中でいちゃついてるの、隠し撮りするのか?」
「ええっΣ(´д`;)!?俺たちやばいですか?」
「・・・さぁな」

商業誌で、さすがに隠し撮りはないだろうが・・・。
素人を被写体にしたのなら、
誰かわからないようにモザイクがかかっているはず。
その予告スナップも、全体的にぼやけている。

そう思って見なければ、どうということも無い、
どこにでもいそうな、ごく普通に、仲良く並んで歩いている・・・
ハイプリの後姿と、少し振り向き加減のハイウィズ。

「・・・見覚えのある二人だな(―∀―;)フッ」
「そ、そうですね・・・(*ノ△`)アウ」

いちゃついているところを撮ってくれるだけならいいかなぁなどと、
赤毛の魔術師と同じようなことを、二人ともが考えていたのは、
サカキもハロルドも知らない。


次の発売日までには、雨が上がるだろうか・・・。